吉沢亮さん主演の映画『国宝』が、歌舞伎界の伝統に一石を投じています。
血筋に頼らず芸を極める姿勢が、市川團十郎さんからも絶賛され、話題を呼んでいます。
吉沢亮の『国宝』が揺らす歌舞伎界の伝統とは?
2025年6月に公開された映画『国宝』は、歌舞伎界を舞台にした壮大な人間ドラマとして話題を集めています。
主演の吉沢亮さんが演じるのは、血筋に恵まれずとも芸の道を極めようとする青年・喜久雄です。
この作品は、歌舞伎という伝統芸能における「血筋か芸か」という根源的な問いに真正面から挑んでおり、観客だけでなく、実際の歌舞伎俳優たちからも高い評価を受けています。
映画『国宝』は、吉沢亮さんの圧倒的な演技力と、歌舞伎界の伝統に対する真摯な姿勢によって、世襲主義に揺らぎを与える作品となりました。
「血筋ではなく、積み上げてきたものが芸をつくる」というメッセージは、現代の価値観とも深く共鳴し、多くの観客の心を動かしています。
市川團十郎さんの絶賛もその証ではないでしょうか。
歌舞伎という伝統芸能が、映画という新たな表現を通じて広く共感を得た瞬間でした。
ここで、少し歌舞伎の伝統についてご説明をしていきましょう。
歌舞伎の起源や歴史的な背景は、ご存じの方も多いとおもうので省略してまいります。
歌舞伎の【特徴と継承】
歌舞伎は「歌」「舞」「伎」の三要素で構成され、音楽・踊り・芝居が融合した総合芸術です。 特徴的な演出には以下のようなものがあります。
- 隈取(くまどり):顔に描かれる力強い化粧模様
- 見得(みえ):感情の頂点でポーズを決める演技
- 花道:客席を通る舞台の通路
- 家制度:芸を親から子へと継承する血筋の重視
この「家制度」が、歌舞伎界における血筋の価値を高め、芸の継承とともに“梨園”という閉じた世界を形成してきました。
吉沢さんの血筋に頼らず芸を極める姿勢が、市川團十郎さんからも絶賛され、話題を呼んでいるのです。
【現代への継承と変化】
歌舞伎は昭和40年に重要無形文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
近年では「超歌舞伎」など、初音ミクとのコラボや漫画原作の演目なども登場し、伝統と革新の融合が進んでいます。
最近では、スーパー歌舞伎等の革新的な試みにより歴史と伝統と血統を重んじていた歌舞伎界も変化を見せ始めているだけに今回の映画は正に革新的な一石になったのではないでしょうか?
覚悟と情熱に市川團十郎も絶賛!

吉沢亮さんは、映画のために1年以上にわたって歌舞伎の所作や発声を徹底的に学び、歩き方や手の動きまでリアルに再現しました。
吉沢さんのその演技は「鬼気迫る」「鳥肌が立つ」と絶賛されました。
特に注目されたのは、市川團十郎さんのコメントです。
自身のX(旧Twitter)で次のように語っています。
「俳優の方々が、1年以上も稽古を重ね 撮影に挑む、そういう姿勢 一つのものに取り組む姿勢。それにより生まれる世界 そこに人々は共感と感動を観る。監督はじめ 関係者全ての方々に賞賛。#国宝 是非ご覧ください。」
引用元:市川團十郎白猿さんのX
このように、歌舞伎界の第一線で活躍する俳優からも「芸への覚悟と情熱」が認められたことは、映画の価値をさらに高めています。
また、映画『国宝』が歌舞伎の興行を担う松竹ではなく、東宝から配給されたことも話題となりました。
松竹は「回答する立場にはございません」としながらも、「盛況となりますよう期待しております」と異例のコメントを発表しています。
吉沢さんの覚悟と情熱を市川團十郎白猿さんが素敵なコメントをされていますので要約してみます。
【市川團十郎のコメント要約】
市川團十郎さんは、自身のYouTubeチャンネルで映画『国宝』について次のように語っています:
「本当に歌舞伎というものに対して向き合ったんだなっていうのをすごく感じた」 「役者の力が、それ(気になること)を画面から消していく」 「よく頑張ってるな、すごい努力をされたんだなと思う」 「専門家がそう思えるのは、素晴らしいんじゃないでしょうか」
このコメントからは、吉沢亮さんが1年以上にわたって歌舞伎の所作や精神性に真摯に向き合い、演技に昇華させたことへの深い敬意が感じられます。
また、團十郎さんは映画のテーマである「血筋か芸か」という問いにも触れ、
「歌舞伎の家に生まれずして歌舞伎を愛すということ。この2つを改めて感じさせていただいた」
と語り、伝統の重みと革新の可能性を同時に認める姿勢を見せています。
さらに、長女・市川ぼたんさんと長男・市川新之助さんも映画を鑑賞し、「目の色が変わった」と語るほどの影響を受けたことも明かしています。
吉沢亮さんの“覚悟と情熱”は、歌舞伎界の象徴とも言える市川團十郎さんの心を動かしました。
この映画が、伝統芸能の未来に新たな光を当てるきっかけになったことは間違いありません。
まとめ
映画『国宝』で主演を務めた吉沢亮さんは、歌舞伎界の伝統に真正面から挑み、その演技力と姿勢が大きな反響を呼びました。
1年以上にわたる所作の稽古を経て、歩き方や手の動きまでリアルに再現した彼の演技は「鬼気迫る」「鳥肌が立つ」と絶賛されました。
市川團十郎さんも「一つのものに取り組む姿勢。それにより生まれる世界に人々は共感と感動を観る」とXで称賛コメントを投稿しています。
吉沢さん自身も、李相日監督からのオファーに「なぜ自分なのか」と驚きつつ、「吉沢くんじゃなければ企画は飛んでいた」と監督が語ったことを明かしています。
この発言は、吉沢さんの存在が作品の核であったことを示すと同時に、歌舞伎界においても“血筋ではなく芸”という新たな価値観が芽生えつつあることを象徴しています。
映画の成功を受けて、歌舞伎界から吉沢亮さんへの舞台出演のオファーも検討されているという報道もあり、伝統芸能と現代俳優の融合が今後さらに進む可能性が高まっています。
『国宝』は、吉沢亮さんの覚悟と情熱が歌舞伎界の価値観を揺るがした、まさに“時代を動かす作品”となりました。
今後の歌舞伎界と吉沢さんから目が離せませんね。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。
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