ダウ90000を主宰し、舞台とコントの往復で評価を高めてきた脚本家・蓮見翔さん。
現在、テレビ東京の新グルメショートドラマ『愛はスパイス』で食×会話の妙を本領発揮しています。
蓮見翔が描くドラマの世界!

ダウ90000のリーダーとして舞台やコントを手がけ、今もっとも注目されている脚本家・蓮見翔さん。
彼の魅力は「会話」そのものにあります。
テンポよく、しかし日常の温度感を失わない台詞のやり取りで、観客をぐっと物語に引き込む作風は、多くの演劇ファンや批評家からも高い評価を受けてきました。
そんな蓮見さんが今回挑んだのが、テレビ東京の新ドラマ『愛はスパイス』です。
1話わずか5分という短い枠の中で、食をテーマに、恋や人間模様を浮かび上がらせる会話劇を展開します。
プロデューサーはテレビ業界でユニークな番組作りに定評のある佐久間宣行さんです。
キャストには平子祐希さん(アルコ&ピース)、タイムマシーン3号、錦鯉、ラランド、Aマッソ加納さん、かが屋など、芸人としても会話の間に強い面々が揃っています。
まさに「会話の面白さ」を徹底してきた蓮見翔さんと、即興的な掛け合いを得意とする芸人たちがタッグを組んだ作品です。
『愛はスパイス』は、蓮見さんの強みであるリアルで緻密な会話とコント的なテンポをテレビの尺に最適化し、食卓という普遍的な場で人間関係の温度差や恋の余韻を立ち上がらせる作品です。
芸人キャストの持ち味を引き出す台詞設計により、笑いのリズムで感情の核心へ到達する、その快感が毎話味わえます。
短尺でも満腹感があるのは、台詞に後味を残す言葉選びと、各話をゆるやかにつなぐ全体設計が巧みだからです。
『愛はスパイス』は、蓮見翔の会話劇を知る入口として最良であり、彼の作家性の現在地を知る定点観測にもなります。
1話完結のオムニバス形式で、毎回さまざまな料理を囲みながら、過去の恋、現在の愛、叶わなかった思いなど「愛」について本音で語り合う。彼らのキャラクターを存分に生かした掛け合いが見どころ。一見軽快なコメディの連なりだが、物語が進むにつれて、ある人物の気配が徐々に浮かび上がってくる仕掛けも。YouTubeで無料見逃し配信が行われる。
引用元:お笑いナタリー
『愛はスパイス』から広がる会話劇の魅力とは?

『愛はスパイス』の最大の魅力は、日常の何気ない会話が、ユーモアと緊張感を行き来しながら人間の感情の深層を鮮やかに浮かび上がらせる点にあります。
舞台やコントの脚本で鍛えた蓮見翔さんは、登場人物が交わす言葉を細部まで緻密に設計し、そこにリアリティとリズムを同居させています。
短い5分間という制約の中であっても、一言一句が観客に強い余韻を残すのです。
さらに注目すべきは、食卓というシチュエーションの選び方です。
人は「食」を前にすると自然と素の表情や本音が出やすくなります。
蓮見さんはそのほころびを逃さず、台詞のやり取りを通じて恋愛の機微や人間関係の微妙な距離感を描き出します。
まるでコントのような軽快さを持ちながらも、見終わった後には心にじんわりとした温かさや切なさが残る、この笑いと余韻の同居こそ、会話劇としての独自の魅力です。
また、芸人キャストの存在も大きな要素です。
平子祐希さんやラランドなど、即興力と間合いのセンスを持つ演者がセリフに生命を吹き込み、言葉のテンポを生かした生きた会話を成立させています。
蓮見翔さんの脚本と芸人たちの表現力が掛け合わさることで、台本を超えた豊かさが生まれているのです。
その結果、『愛はスパイス』は単なる短編グルメドラマにとどまらず、「会話という表現手法の可能性」を提示する作品になっています。
普段は何気なく聞き流している日常のやり取りが、見方を変えると物語そのものになり得る視聴者はその気づきを体感できるのです。
作品設計:食卓×会話×短編の三位一体
番組は日曜深夜の5分枠で、毎回ひと皿を囲みながら愛にまつわる本音が交差します。
形式は「1話完結のオムニバス」で、進むにつれて「ある人物の気配が浮かび上がる仕掛け」があると明言。
短尺でも物語的満足度を確保する構成です。
番組は日曜深夜の5分枠で、毎回ひと皿を囲みながら愛にまつわる本音が交差します。
形式は「1話完結のオムニバス」で、進むにつれて「ある人物の気配が浮かび上がる仕掛け」があると明言。
短尺でも物語的満足度を確保する構成です。
作家性:会話偏重の脚本術
蓮見さんはダウ90000の脚本でも会話の面白さを最優先してきました。
インタビューでは台本が「ほぼセリフ」で、ト書きは最小限と語ります。
つまり台詞のリズムで情景を立ち上げる作劇です。
さらに、評価の文脈でも彼は「リアルで緻密な会話劇と日常を鋭く切り取る視点」で注目され、『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023』に選出されています。
テレビの短尺でも会話で魅せる適性が裏打ちされています。
テレビ的最適化:短尺×オムニバス×芸人起用
本作はコントでもドラマでもない隙間に位置づけられ、5分×全11話という編成でクセになる視聴体験を狙います。
芸人の現場対応力を活かしつつ、蓮見脚本の言葉のキレで物語の芯を通す仕組みです。
この設計はリリース・ニュース双方で強調されており、作家の強みと番組フォーマットが嚙み合っているといえます。
まとめ
『愛はスパイス』は、蓮見翔さんが得意とする会話劇の魅力を、5分間という短い枠に凝縮したドラマです。
日常的な食卓の風景を舞台にしながら、台詞のリズムや間合いで人間関係の温度差や恋の機微を描き出す点は、舞台で培われた作家性の真骨頂といえます。
芸人キャストたちの表現力が加わることで、脚本の緻密さと即興的なテンポが見事に融合し、視聴者は「笑い」と「余韻」を同時に味わうことができます。
単なる短編ドラマではなく、会話そのものが物語を生むという可能性を提示しているのが、この作品の大きな意義です。
まさに『愛はスパイス』は、日曜深夜にふと心に小さな刺激を与えてくれる一皿のような存在です。
蓮見翔さんの会話劇に触れる入り口としても、今後の活躍を占う一歩としても見逃せない作品だといえるでしょう。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。
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